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2019.10.31

「授業百景」殿塚先生の後半は、より詳細に授業づくりの肝を教えていただきました!前回の記事はこちら

教養(基礎)は意外と難しい。学生にはつまらなく感じるところも多いが内容は重要。ただし、つまらないもの(注を参照)を盛り上げるのは難しい

 次の、かなり大事なポイントです。私は講義ノート(写真③④)を作ってるんです。最初にね、何にも準備しないで授業をやろうとしても、いざ授業になるとすらすら書けないでしょ。だから、基本的には作った講義ノート、台本通りに書いているんですよ。この講義ノートを作るっていうのが重要で、教員も理解しないとつくれないんですよ。

 ただ、教養の授業はなかなか難しいところがあって、この教科書(ブラディ)、あなたも苦労したみたいですけど。
―苦手な教科書でした…。 いや、あのね、意外と専門より教養の方が難しかったりします。だって理数科目の教養って、理論じゃないですか。専門の方では、例えば実際にはこうだったって出てくるけど、教養はほんとに理論だからなかなか抽象的だし。僕も実は理解できないところがあるんですよ、授業やってて。だってこれ難しい笑。
―そうなんですか?!
 だけど、この内容、中身は変わらないんですよ、僕が学生の頃と何も変わってないので。もちろん単位のところがSI単位系に代わってとかそういうのはありますけど、本質は何も変わってないです。で、これをどう授業するの、どうするかっていって、つまんない、はっきり言ってつまんないんです笑。(注:講義の内容は重要であるが、学生にはつまらなく感じられるということであり、内容そのものをつまらないと言っているのではない。)
―え笑。
 つまんないのをなかなか盛り上げるって難しい笑。ただ、意外とこの教科書にもいいところはあるんですよ。物理化学とか理論化学ってなると、どうしても数式が出てきちゃうんですよ。例えばこの赤色の教科書は典型的で、「基礎」って書いてあるんだけど、偏微分がいきなり出てきちゃうんですよ。僕は、数学をあんまりやってない人間で、なかなか理解できない。これでは授業できない。意外と同じような内容でも、大学の場合は教科書によっても表現が違うので。僕は結構教科書を買い込んでて(写真⑤)。
 他にもいっぱい物理化学の教科書を見てるんです。理解しないとできないじゃないですか。色々見た上で、じゃあこんな感じで統一しようということで、熱とは何か、これはこういう流れでって、そういうストーリーを組み立てるんですけど。その辺のところって、理解しないとなかなか難しくて、教員にも基礎化学って難しい。

…教科書ごと説明や表現に、文章・数式・図などのバランスが様々ある。

 ただね、難しいからじゃあやらなくていいかって、そういうわけにもいかない。他学科の方でもたぶん、熱力学の考えってちょっと出てくることってあると思うんですよ。例えば、生化学だと、代謝の話が出てきて、結局エネルギーの話、考え方とかが出てくるんですよ。
―ありますね。地域で自然エネルギーを自給するシチュエーションとか。
 でもエネルギーの授業で扱う19世紀の考え方が、意外と難しい、こういうものがあるだろうみたいな感じで、出てきちゃう。実際、生化学で使うようなものって、こんな偏微分は絶対出てこない、ただこの知識を利用して、エネルギーの法則ってのはこういうものがありますよねというのは出てくる。
 あとは、そういうエネルギーを測るような機械もあるから、多少はかじっとかなきゃいけないんだけど、そのために農学部の人に偏微分のレベルまで理解が必要かと言われると、それはちょっと違うように思う。ただし、最初に何らかの授業で勉強しておかないとしないとダメなところはあると思う。もちろん、教員でも理論の知識をベースにして機器分析やるとか、そういうことはあるから。
―そうですね。ある程度はさらっとでも。

基礎教養は

 でも機器分析も、例えば機械の細部の構造の部品のことまで知らなくても、いいじゃない。だって例えば、車運転するにも車の整備士じゃないから、車のパーツとか一から全部覚えなくてもいいけど、車の原理ぐらいは知っておいた方がいいと。そんなもんですよ、一般教養は。
―なるほど。 で、同じですよ。機器とか分析とか、環境分野でも温室効果ガスとか熱力学的な考え方って出てくるんだけど、それの元になる複雑な式までは理解しなくていいと思うし、そこまでは出来ないのでどこまでやるかっていうところで、大学の授業っていうのは難しいところがあります。そういうことは理数化学では結構あります。
―そうですね。すべてを説明しようとするとかなり膨大で複雑になると思うので、先生方の経験や研究を通して理論の重要な部分やエッセンスが聞けたらありがたいですね。  だから、まずは理解しようと。やっぱり、自分で理解できないところは教えることもできないので、教員の予習は大事である、と。それによって作っていくので、だから講義ノートは、単に教科書のキーワードをただ抜き出したものではないです。
 授業アンケートに、板書や流れがとにかくまとまっていて素晴らしい!て書いてくれた人がいて、それは相当うれしいですね笑。

教科書は一つを指定。理解しやすいストーリーを組み立て

 続いて、教科書は何か指定した方がいいです。学生にとっても予習復習をしやすくなるし、ここの部分をやりますよってアナウンスできるから。
ただ、内容の順番が前後すると教科書の通りやってくれとかって文句言われることもあるんです。でも、「順番は前後してるんだけど、この順番の方が理解しやすいから、僕のこだわりでやっている」という風には言ってますね。
 時には、それ以外のところをやったりもします。大学くらいになると、指導要領があるわけじゃないんで、ある程度自由にね。

 次は講義内容。講義は、理論だけだと単調でつまらないので、実際のものを入れたりとか、いろいろ演習問題を入れたりする。実際のものって例えば、「プラスチックが何からできてるかって、身近なところの具体例とか入れてください」って言われたりするんだけど、そればかりではつまらないと思って。
そうじゃなくて、全体としてのストーリーが必要だから、熱とは何かっていうようなことの、人類が考えてきたそれの歴史、こういうものを見つけるのにこんな実験をしたとか、そんな話の理論と実際を組み合わせた方がいい。
 その辺の話の組み立て方も、例えば、単に式だけ出されても学生は困るので、興味を持ってもらうために、最初の回で、ジュールって人がいてこんな実験したらこんなだったとか、物語風なものをいれるといいですね。ただ、あまり実例ばかりやってると進まないので、ここのバランスとるのは重要です。
 話したらキリないから笑。
―笑。

講義は長いから40分×2と分けて、途中に何かはさむ。

 講義はね、90分って長いんですよ。やっぱり、長い。大学の講義ってなんでこんなに長いんだろうって思うんだけど。なので、40分×2くらいな感じでやってます。途中では何かいれます。とりあえずやってたのは、眠気覚ましの演習問題とか、毎年同じなんですけど、これは小テスト一回分(写真) 。
 小テストと、この順で一応やりますよ、と15回分の流れを載せておく。で、授業中に自己採点もしてもらいます、点付けんの大変なんで。これなんか高校の化学の復習ですけど、まあいいんです、気晴らしで。
―気晴らしがてらで。 気晴らしがてら。そこら辺のことやらないとさすがに90分は集中できない。途中でなんか工夫すると良いです。

 あとは演習問題をやるとか。まあ専門に近い場合は研究に近いトピックを紹介模したりはします。ただ、あまり長い間やるとちょっと…笑。なんで、それなりですけど。

とちゅう