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第三十六景  「生物生産学実験基礎」~動物にも優しい世界へ~

2021.11.08

皆さんは動物福祉という言葉をご存じでしょうか。

知らない方はもちろん、聞いたことがあるという方も是非最後までご覧になってください!

大学受験の勉強と大学での勉強の違いもわかります!

<プロフィール>
お名前:新村毅(しんむら つよし)先生
所属学科:農学部生物生産学科
研究室:畜産学研究室

生物生産学実験基礎について

ー授業概要ー

農学部生物生産学科の共通科目。生物生産の基礎を理解できるようになることを目標にした実習授業。全30回の授業を通じて、生物生産学における植物生産、動物生産、生産環境に関わる基礎的な実験方法、データ処理方法を習得していく。

―はじめに、生物生産学実験基礎の授業内容を教えていただけますか。

この授業は通年授業で全部で30コマあるんだけど、僕が担当している回が12コマあって、その部分だけの話になっちゃっても大丈夫?

―大丈夫です!

了解です。自分が担当している回は主に動物福祉をテーマにしています。
動物福祉は結構難しいけど、とても面白いテーマだと思っています。
実際日本でも動物福祉はとてもダイナミックに動いているところで、それを五感で感じてもらえるような実習を目指してやっています。 

―そもそも動物福祉とは何なのか教えていただけますでしょうか。

そっか、たしかにね。
動物福祉は国語的に言うと動物の幸せのことです。
なので動物の立場に立って動物の状態を理解して、彼らが本当に幸せなのか幸せじゃないのかっていうのを判断していく。
それが動物福祉ですかね、、、(笑)
それで、動物の状態をより良くしていくって感じかな。

―ありがとうございます。

具体的な実習の内容としては、例えばケージで飼われているニワトリの動画と放し飼いで飼われているニワトリの動画を見比べて、そこから行動観察をします。それで、ケージと放し飼いで比較してもらう。

そうすると、やっぱり放し飼いのニワトリの方が行動が多様なんですよね。
そこで、どっちの方がニワトリの快適性が高いかって話をすると、当然行動学的には放し飼いの方が快適性つまり動物福祉のレベルが高そうだっていうのはすぐわかる。もちろん極端な比較をしているから当然なんだけど。

それを見てもらった上で、「みんなだったらどっちのニワトリの卵を食べたいと思う?」って話をすると、やっぱり放し飼いのニワトリの卵を食べたいっていう人が圧倒的に多くなるんです。そこで次の実習までにスーパーに行って放し飼いの卵とケージ育ちの卵の値段を調べてきてもらって、次の週にみんなでリアルタイムでスプレッドシートに卵の値段を打ち込んでもらいます。
そうすると、放し飼いの卵の方が2倍3倍値段がするんだよね。

(実際に授業で得られた結果)

これって日本が今動物福祉で抱えている問題そのものなんです。同じ値段なら福祉的な方をみんな買うんだけど、それが二倍三倍高くなってしまう。
このような問題をまず感じてもらってから、じゃあ日本の家畜福祉はこれから何が問題で、その問題をどう解決していけばいいかっていうところをテーマにして議論したりとか、レポートの課題にしたりします。

日本が今現実に抱えている問題を知ってもらって、それを問うて、自分の考えを一つ持ってもらう。
そういうことを実習を通してやっています。

―とても興味深い実習ですね。

授業を通じて感じて欲しいこと

―授業を通じてどういったことを学生に感じて欲しいですか。

そうだな、自分達が食べている食品なりなんなりがどういう生産のされ方をしているのか、またその食品がどういう問題とか課題を抱えているのかを知ってもらって、考えてもらう。それが一番大事にしているところですね。

授業では冒頭にぽろっとくらいしか言わないんだけど、それが日本だけじゃなくて、むしろ海外の方が大事なテーマになっているんです。
だからどんな分野の職についてもグローバルに活躍するなら、海外に行った時に動物福祉を知らないと大丈夫か?ってなるし、逆に海外からお客さんが来た時に、海外ではありえないような福祉レベルのところに連れていくと、とても非難されかねない。
どんな職業に就くにしても頭の片隅にでもいいから動物福祉は知っておいて、意見を持っておいてほしい。
あれ、何の質問だったっけ。

―授業を通じて生徒に何を感じて欲しいか、ですね(笑)

あーそうだ!(笑)
そう、だから動物福祉は大事で、日本だけでなくて海外でも重要なんだってことを感じて欲しいです。

―なるほど、ありがとうございます。

先生が影響を受けた授業

―先生自身が影響を受けた授業について教えてください。

うーん。僕は大学で受けた授業はどれも感動的だったなあ。
特に動物発生学、動物生理学とか。そこで、人の身体ってものすごく連動的で物語があって、それが自分の身体の中に刻まれてるということを知りました。

大学受験の生物学って暗記な部分が結構あって、自分もそれをひたすら覚えて問題を解くという感じでした。そういうのは得意ではあったんだけど、好きかと言われると好きではなかったんです。
ただ、大学に行くと、そのただ覚えただけの知識を繋げてくれるような授業をしてくれていた。例えば動物発生学なら受精卵から人の身体ができるまでの流れとか、動物生理学だと人のホルモンが、こうきてこうきてこうなるみたいな。
そこで感動したし、一気にのめり込みましたね。

だからこそ、自分の授業でも知識を断片的に教えていくというよりは、一つ一つ繋がるような形で教えるようにしています。

―新村先生の授業百景はここまで!
 インタビューを通じて動物福祉について、またその重要性を知ることができました。
 本当はもっとインタビューさせていただいたのですが、まとめなければならないのがとても惜しいです!
 新村先生ありがとうございました!

新村先生の研究人生や研究内容についてお聞きした「#36「新村先生」~ワンウェルフェアで実現する人だけでなく動物全体が共生できる未来~」あわせてどうぞ!

文章:竹中夏史
インタビュー日:2021年08月05日

※ 授業の形式等はインタビュー当時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。
※インタビューは感染症に配慮して行っております。