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授業百景

# 第四景 学問に王道はなし。
丁寧に教えるけれど、難易度は下げません。vol.2

2020.03.10

大橋秀伯先生の「授業百景」vol.2です! vol.1はこちら


大橋秀伯(おおはし・ひでのり)先生
化学物理工学科

まあまあ広く、しっかり深く

 このシステム工学概論はあくまで「概論」なので、どちらかというと、いろんなことを浅く広くやるというのが、そもそもの狙いではあります。ただ、やっぱり個々の単元で理解が浅いと、場面ごとにその考え方が使えるかどうかを判断できないんです。統計解析一つとっても、その解析を使えるかどうかの前提条件がしっかり分かってないと、間違った結論を出してしまったりする場合もあるんです。

 例えば、算数の能力と身長の相関っていうのがあります。
 小学生が対象だとして、縦軸が身長で、同じテストを受けてもらったときの成績を横軸にしてプロットしていくと、右上がりの直線になって、一見相関があるように見えるんです。でもこれって実は、右から順に6年生、5年生、4年生のデータが並んでいただけだったりするんですよね。

 これを学力と身長の間には相関がある、と判断してしまうと、まずいわけですよね。

 だから、それぞれの統計や考え方がどういう前提条件の時に使えるかっていうことを説明して、応用力まで身につけさせたい、と思っています。15回を全部違う単元にすることもできるんですけど、あえて単元を絞って、それぞれの単元をある程度しっかり深くやるような形にしています。

 裏話をすると、自分自身がそういうのを知らずに使ってしまうのを避けたいというところから始まっています。同じような話で、授業では色んなモデルを教えたりするんですが、モデルというものはどれも必ず適用できる限界があるんです。その限界を知って使うということが大切なので、あるシチュエーションで使われる式が、なぜこの式になるのか?っていう部分も紹介します。
 ここは学生からの評価が分かれるところなのですが、そういう話が好きっていう人は好きなんですよね。やっぱりちょっとストーリー性があるので、「裏側が知れた」みたいな。
―色々なモデルの限界を知っておくというのは重要ですね。

せっかく大学来たんだから、難しいこと考えようぜ☆

―授業1コマの大まかな流れなどありますか? 時間配分としては、最初に例のA6の紙を配って、開始20分ぐらいは復習に使って前回のやったことをさらっと流します。そこからその回の講義をして、途中でお題の回答を見せたりします。あとは、合間合間に演習の時間を取るんですけど、その時間は学生同士で相談できるように私語OKにしてます。
 あと、やっぱり学生が理解していることと、自分が理解してることって、当たり前ですが結構違うんですよね。それを常に意識しておくのは、すごく重要だなと思います。

 うまく説明できたなとか自分で思っていても、意外と説明が伝わってなかったりする場合もあるので、そういうのは、リアクションペーパーで拾って、説明用に追加スライドを作ります。それを、次回の復習の時間で説明します。前回はこういう風に説明していたんだけど、こういう質問が出たので説明します、という形です。質問に答えながら、復習をするというのは一つ、テクニックと言えばテクニックなのかもしれないですね。

 ちょっと、話はズレるんですけど、大学は難しいことを勉強する場だと思ってるので、あえて簡単にはしないです。
―笑。すごく丁寧に教えるけど、難易度は高く、ですかね。 はい。そうです。分かった!って思う気持ちは重要だと思うので、簡単なことを教えて分かった気にすることは出来るし、それが授業の満足度にもきっと繋がるんでしょうけれども、でもそれだけじゃないだろう、とは思っていますね。なので、「難しい」って言われたら、「難しいものを勉強するところなんですよ」って言うようにしてます。「簡単なことを大学で習ってもしょうがないでしょう?」って。
―その通りですね笑。 その上で、どこが難しく感じるのかを聞き出して、フォローするのが良いですね。

授業に集中する最も簡単な方法は

 あとは、初回の授業から前の方に座るっていうのは結構重要かもしれないですね。結構面白かったのは、再履修で受けている学生がいたんですけど、「やっぱり単位取りたいんでしょ、聞かないとダメだよね。前に座って。」って言ったら、一番前に座ってくれたんですね。
 そしたら、やっぱりよく聞くようになるんですよね。すごく成績も良かったり。で、授業アンケートとかで、「前に座るっていうのは、こんなに集中できるもんだとは思わなかった、他の授業でもやってみたいと思う」と書いてくれたりして。授業に集中しようというときに、すごくお手軽で効果があるのは、前に座るってことだと思いますね。

先生も授業ノートは清書してます。

 これは1年生の授業のノートですね。
―字がキレイですね! ありがとうございます笑。でも最初の方は全然で、こんな感じだったんですよ。

―こっちもキレイですね…。 一回違うノートに書いて、それをまとめてるので、最初のノートは殴り書きです。
―清書版ということですね。手間かかってますね(*_*)! 今年もそうだったんですけど、初めての授業でノートを作るときは、まず一回教える内容を草稿版にずらーっと書いて、その上で板書する内容と喋る内容っていうのを分けていくんですね。赤色は、重要事項と英語併記で、英単語の方はまとめてプリントにしちゃってます。
 しゃべるべき内容が清書された授業ノートができると、授業が見違えて安定するようになりました。草稿版だけだと、どうしても、あれもしゃべろうかな、これもしゃべろうかな、みたいな感じになって、そのまま板書すると時間が足りなくなったりして、うまく行かないですね。

クラスの質問と解答を共有、雑談も少々

 1年生の授業(熱力学)は、リアクションペーパーなどで質問が来たら、それに対する回答集を作っていて、これは結構評判が良かったように思いますね。やっぱり、熱力学の授業ってめちゃめちゃ難しいんですよ。言い訳ですが、多分誰がやっても難しいんですよ。それで、それぞれの学生が疑問に思ったところを解説する目的で、そういう質問解答集を作っています。本当は板書とか出来ればいいんですけど、その時間がないので、作って配ってしまいます。
 そうすると、他の人がどういうところに疑問を持っているのかっていうことも分かりますし、「潜在的に疑問に思ってたけど、自分では思いつかなかった」っていうこともあったりして、回答集を見て勉強できたりするんでいいんだと思います。

―初学者だと、自分が何を分からないのか分からないというのもありそうですね。 それもあると思いますね。他人が質問している点を見ることは、そういう場合に対して有効なこともあるかと思います。「そうそう、それを聞きたかった、気がする」みたいに。最初の方は、授業内容の質問が多かったんですけど、最後の方は雑談みたいなのが増えてきて、僕もそれに対していちいち馬鹿正直に答えてて。
―なんさいですか?ってひらがなでありますね笑。親身ですね、すごく。 凝り性なので、ついついやってしまうんですよ。まあ授業で難しいことをやってるので、これぐらいは自由にやってもいい。こういうのは、パーソナリティで、学生もちょっと教員のこと知りたいってこともありますよね。
―ありますね。授業を受けているだけだと、この分野を教えてくれるご年配のおじさんって感じだったんですけど、3、4年生になって合同のゼミとかやると、こんなにいっぱい知っている人だったんだ!って、今思うと失礼ですし、自分が無知っていうのもあるんですけど、存在が遠いですね。 確かに、そういうのがちょっと払拭できるならば、こちらとしてもやっている甲斐がある気がしますね。


大橋先生の「授業百景」vol.2はここまで!
続いては、大橋先生の経緯や座右の銘についても教えてもらいました。
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※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。