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授業百景

# 第四景 学問に王道はなし。
丁寧に教えるけれど、難易度は下げません。vol.1

2020.03.10

第4回は大橋秀伯先生の特集です!

大橋先生の「システム工学概論」の授業について、学生からは以下のような部分が授業の魅力として挙げられていました。

【システム工学概論】
〇できる限りわかりやすいようにスライドが作られており、そのうえ、履修者の理解度にあわせてたびたび補足を行うなど、授業進行も懇切丁寧であった。
〇モノクロ印刷にも耐えうるようにスライドの資料の色づかいなど細かい所にも配慮があった。
〇概念を理解し、資料を適切に参照できる力をつけることが狙い。

そんな大橋先生の授業づくりの肝を聴いてきました!


(コーノ以下―)本日はどうぞよろしくお願い致します。(大橋先生以下スペース)こちらこそ、よろしくお願いします。一応、雑談ではありますが、お話のネタとしてメモを作っておいたので、こちらに沿って行きますかね。
―ありがとうございます!

大橋秀伯(おおはし・ひでのり)先生
化学物理工学科(2020年度より)

自分の得意な覚え方はどれだろう?

 まず、授業をする上で気を付けていることに、情報のインプット手段を多様にするというのがあります。最初の方の授業で学生さんには伝えるのですが、例えば、目で見て覚えることもあれば、聞いて覚える場合もあるし、他にも書いて覚える、自分が理解した時に覚えるとか、色んなインプットの仕方があって、人によって得意とする覚え方が違うので、自分はどれが得意なのかを把握することがまず大切です。その上でさらに、インプット手段を多様化することでより記憶力も高まるので、授業ではできるだけ色んなインプット手段を意識するようにしています。
 授業によっても使うツールは違って、この授業ではスライドを使ってますが、私がもう一つ担当している熱力学の授業はコア科目なので、書いて覚えさせたいという目論見があり、板書を使っています。

 スライドは先にオンラインで配って各自印刷してきてもらうようにしていて、授業の3回分が一気にダウンロードできるようになってます。このシステム工学概論の授業は、授業3回分ずつを一単元として、複数の単元を扱うような形なので、そういう風にしています。スライドには、演習問題と白紙を間に入れて、自分で書き込んで演習できるようにしています。演習問題の解答がすぐ後ろにあると見えてしまうので、最後の方に配置しています。
 あと、印刷しやすいように8枚つづりでダウンロードできるようにしてます…そうすると、自分は縦配置派だとか横配置派だとか言ってくる人が出るんですね。なので、両方作ってるんですけど、これはちょっと自分でもやりすぎだなって思ってます。
―なかなか手厚いですね笑。

大橋先生が作ってくださったメモ

 色々と演習問題を出してるんですけど、演習問題は出来るだけ2問以上解かせるようにしてます。というのは、1問目はとりあえず自分で解くんだけど途中で詰まったりすると、解説を聞いたり友達と相談したりして進めていって、それで分かった気になってしまうっていうのがあるんですよね。なので、もう一回解かせて、自力で解けるかどうかを確認するという形にしています。

日常生活でも使える?じゃあ聞こう!

 高校生の人には少し耳慣れないかもですが、我々の学科は化学工学という学問分野を扱っています。これは皆さんの身近にある化学製品などを大量生産するための学問で、社会基盤を支えている学問なんですね。だから、それに関連した演習問題を出したりだとか、実際の身近にあるような問題を出したりして、学生さんの気を引いています。
(スライドを見ながら)
―…「期末テストが到来した」っていうのが気になったんですけど… これは、期末の時期が来た時に「システム工学と物理化学の試験が明後日に重なっていたことに今 気づいた やばい!」みたいな、問題のいわゆる前提・背景ですね。で、「システム工学の理解は浅くて、物理化学の理解は深いけど、一方でシステム工学は勉強すれば効果が出る気がする」と、こういう風な制約条件があった時に、じゃあ「どういう風に勉強時間を割り振れば、勉強の効果が最大になるのか」っていう、そういうような問題を出したりとかですね。
―なるほど!問題文だったんですね笑。時間配分の最適化みたいなことですか? そうですね。こういう問題を出しておくと、「ああちょっとやってみようかな」って思いませんか? だから、教えるときに普段の生活でどういう風に使えるかっていうのも一緒に勉強させてあげたりすると、とっつきが良かったりします。

 ほかには例えば、パソコンを買うというときに、機能を重要視したいとか、外で使いたい、安く手に入れたいとか、色々ありますよね。
 そうした時に、「代替案の手法」*の一対比較法という手法を使うと、それは、パソコンに求める要求が、機能、費用、耐用年数とあった時に、何が自分にとってどれだけ重要なのかを判断することができるんですね。
 例えば、外で使いたいというのが最優先で、費用は次点だとすると、バッテリーの性能が良いものを選びたいから、バッテリー1点、費用0点、みたいな感じで、要求項目同士を一個ずつ比較していきます。そして、全部の組み合わせに対して点数を足していって、各項目のスコアを出すわけです。

 これが結構面白くてですね。たとえば、自分がどういう風な食べ物が好きなのかを知りたいときに、カレーとラーメンだとラーメン、カレーとうどんだとカレーみたいな感じで比較していくんですね。
―あはは笑。 比較の組み合わせによって、優劣が前後したりする場合もあるわけなんですけども、全部の組み合わせで比較して、点数を集計することで、最終的には自分が一番好きなものが決めることができる、そんな話をすると、これはどうやら使えそうだっていう風に思って聞いてくれたりする、というわけですね。

今もしかして重要なこと言った?

 細かいことですが、喋る時に重要なことは2度繰り返したりしますね。
 僕は人の話とか聞いてて、ちょっと違うところに意識が入り込んでしまい、うっかり聞いてない場合があったりして、「今なにか重要なこと言ったっぽい?」みたいなときが結構あるんですけど。そういう風に聞き逃してる人が僕以外にもいるはずだと思って、二度言うようにしてます。
―めっちゃわかります。ありがたいです! 特に、専門用語が飛び交うような授業は気を付けていますね。例えば、線形計画法という単元の中では、「0に設定していないのが規定変数で、0に設定したものが非規定変数って言うんですけど」とか定義の説明をした後にすぐ、「非規定変数にしたので」って言うと、いきなり分からなくなっちゃいますよね。
 だから、「ここで0にする、つまり非規定変数にします」と言うのを、何回も繰り返して言っておくことで少なくとも、その授業の間はインプットされて覚えていられるというわけです。こういう専門用語とかは繰り返し言うようにしています。
―学生としても、急に知らない単語いっぱい出てきた!ってなりますもんね。 そうなんですよね。本当はこういう専門用語を使わずに説明したいんですが、この単元をやってる以上、その単語を説明しておかないと、後からちょっともう一回勉強してみようと思って参考書を開いてみた時に、「あれ?習ったはずなのに、なんか初めて聞く単語ばっかりなんだけど??」っていうことになって困るわけです。
 だから、専門用語の説明を外すことはできなくって、その単語は使わなくちゃいけないんだけど、でもその単語を使うと、授業が分かりづらくなる部分があるので、そこを補完してあげるっていうのはすごく重要なのかな、という気がしますね。

授業にも息抜きは必要

 あと、質問ある人?って聞くんですけど、なかなか出ないので、代わりにリアクションペーパーを出してもらうようにしています。これは先生方たぶんやってると思うんですけど。僕の場合、A6くらいの小っちゃい紙を最初に配って、授業に対する要望や意見などなどを書いてもらってます。そうすると、授業中に分からなかったことを書いてくれたりするので、それに対する補足説明を次の回に入れたりできるわけですね。

 これは余談なんですけど、その中で今日のお題みたいなのを出したりします。例えば「座右の銘は?」みたいな感じで。そうすると、みんなそれぞれのことを書くので、それをまとめておいて次の授業で出します。授業の途中とか、ちょっと疲れた時に「じゃあ先週のお題、座右の銘を集計したものです」って出したりします。
―面白いですね笑。 まあ、本当はこんなことやってる暇はないですけど笑。あとこれは、結構お気に入りなんですけど、お題:好きな色 ですね。集計結果を色と大きさで分けると結構キレイです。

好きな色 2019年度

 これは今年のやつで、去年はこんな感じでした、みたいな感じで笑。

好きな色 2018年度

―年度で比較もできるんですね笑。あの、バンザイしているのは笑? これは好きな色:虹色って書いてくれた子が、こんな絵を描いてくれたりして。黄色はポムプリの色だからとか、家のイメージカラーが赤とかって、そういう各人のエピソードも交えながら、紹介すると面白いですよね。錆納戸(さびなんど)色とか結構渋い色知ってたりするんです。一般的な傾向としては群青や瑠璃とか、青系統が結構人気です。今年は暖色系も人気でしたね。
 ちょっと問題なのはですね、RGBとCMYKが違うってことですね。色の三原色と光の三原色で違うので、上手く表示出来てるのかな、ってところは…ものすごくどうでもいいことなんですけど笑。
―色の忠実性ってことですね笑。科学者さんっぽいです笑。


大橋先生の「授業百景」vol.1はここまで!
続くvol.2では、授業ノートなどについても教えてもらいました。

大橋先生の「授業百景」vol.2はこちら

* いくつかの候補を客観的に順番づけする手法

※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。