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授業百景

第二十八景「植物生理学」~授業は演技だ!効果的に伝わる授業づくりの秘訣~

2021.03.17

第28回は金勝一樹先生の授業特集です!

今回は、金勝先生の授業づくりについて教えていただきました!
農学部生物生産学科1年生向けの授業「植物生理学」を取り上げます。


〈プロフィール〉
お名前: 金勝一樹先生
所属学科: 農学部生物生産学科
研究室: 植物育種学研究室
趣味: 昔は子育て、今は日本映画を見ることと美味しいものを食べること

植物生理学とは

-まず「植物生理学」の授業の概要を教えてください。

1年生向けの授業なので、高校を出たばっかりの人が初めて受ける専門科目という位置づけになっています。農学というよりは理学系の内容で、前半は植物ホルモンの話、後半は光合成のしくみの話をしていきます。

やはり農業というのは、直接・間接的に植物の機能を利用していく産業で、それを支えている学問が農学なんですよね。その植物の機能のなかで一番大事なものは、地球の外から来る光エネルギーを私たちが利用可能なエネルギーに変えることができるという光合成です。光合成については、他の学科よりも詳しく授業で扱っていると思います。

-授業で工夫していることはありますか?

色いろな植物のゲノムが読める時代になってきていて、覚えなきゃいけない知識が半端なく多いんですよね。膨大な知識量を教えることになるし、学生によっては“授業なんて一冊教科書読めばそれでいいんじゃないの”と思っている人もいると思うのだけど、それだと授業を受けてノートをとっても結局何も身につかない。それで、私の授業で工夫しているところがいくつかあります。

これは光合成の単元で配っているプリントです。最低限必要な用語を最初にまとめてあり、最後に「理解のポイント」ということで、重要な項目を問題形式で整理しています。ただなんとなく授業を聞くのではなくて、「理解のポイント」の問題の答えを探しながら授業を受けていけば、それだけ理解も深まるのではないかと思って、こういう形式をとっています。穴埋め式の「ノートの補足」も用意しています。

-視覚的にすごく分かりやすいプリントですね!実際に授業を受けた学生からフィードバックをもらうことはありますか?

今は、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業になっているのですけど、割とこの形式が良かったみたいで、穴埋めの答えを埋めながらやっていくと、授業に集中できて理解しやすいという声は聞いていますね。

授業を受けた学生全員を植物生理学のエキスパートに

-先生は研究もされながら、授業もされていますよね。その中で授業に対するモチベーションを維持するという点では、どういったことを意識されていますか?

先生によっては、“研究をメインにしているから私は教えることのプロではない”みたいなことをいう方がいますが、間違いなく私たちは教えることによってお金をいただいているので、教えることのプロだと思うのですよ。

私は実は、中高の教員になろうかなと思っていた時期があります。教育実習に行ってすごく楽しかったし充実していたし、自分自身、教員に向いているかもと思っていました。だから、教えることに関してはそんなに苦になりません。研究はもちろん大事だとは思うのですけど、教育の方もすごく重視しています。私のモットーのようなもので、学生には全員Sをとってもらえる、そのつもりで授業をしています(※農工大では成績評価として、高い順にS、A、B、C、Dの5段階評価を用いている)。受講されている学生全員をある一定以上のところまで到達させることができる、そういった教員が優れた教員なのではないかと思うのですよね。

私の授業を受けた農工大の学生が全員、植物生理学のエキスパートになってくれたら良いなと思っています。それは教員として私も自分の能力が発揮できたということになるし、学生もそのために授業料払って授業を受けているわけなのでね。まあ、今のところ全員をエキスパートにというのは達成できてないのですけどね。ちょっと話がズレちゃったかな。

-いえいえ、すごく素敵はお話しで。そういった想いで授業をしてくださっているのがすごく嬉しいです!

授業は演技だ

授業のフィードバックは良いものばかりではなくて、ギャグばかり言い過ぎだと指摘されることもあります(笑)

-そんなにギャグ言われるんですか?(笑)

皆さんだって授業を受けていて、やっぱりユーモアのある先生の方が楽しかったりしますよね。

-それは間違いないですね!

そうですよね。授業は、私の中では演技だと思っています。説明するだけだったら誰でもできると思います。だけれども、説明する順番を変えたりとか、あるいは声の調子を変えたりとか、それによって受けるイメージはすごく変わってくると思うのですよね。脚本があって、その通りに演技してくれるような、例えば武田鉄矢さんみたいな人が私の授業をした方が、遥かに効果的に学生に伝わるのではないかと思います。だから、授業をする時は、学生の前で本当に学生が理解できるように演技をしなきゃいけないなと考えながら工夫しています。

-「伝える」のと「伝わる」のはまたちょっと違いますもんね。

そうですよね。皆さんも社会に出て、お客さんに自社の製品を売り込まなきゃいけないという時に、マニュアル通りに話しただけだと通じないこともありますよね。そういった伝え方の工夫を考えながら私自身も授業をしています。

金勝先生の「授業百景」はここまで!
金勝先生の今に至るまでの経緯、研究への想いについて詳しく知りたい方は「金勝一樹先生」~大発見は突然に!「2019年農業技術10大ニュース」に選ばれた技術確立の裏側~」もあわせてどうぞ!

授業百景第二十八景はいかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに!

文章:すだち
インタビュー日:2020年11月05日

※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。
※インタビューは感染症に配慮して行っております。