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授業百景

# 第九景 基礎は先生が、発展と横道は学生が vol.1

2020.05.14

第9回は赤坂宗光先生の特集です!

赤坂先生の授業について、学生からは以下のような部分が授業の魅力として挙げられていました。

【景観生態学】
〇プリントに書き込む形式だったので、聞くだけにならず内容が頭に入りやすくなる。
〇最後の3回ぐらいは課題として提示された論文をグループで一つ選び、その内容を発表する。
〇発表形式で学生に質問を出させてその返答を紙面で作らせたこと。
〇授業で論文を読むことで、今後の研究活動でやっていくことのお試しができる点は他の授業にはない良さでした。

そんな赤坂先生の授業づくりの肝を聴いてきました!


(コーノ以下―)本日はどうぞよろしくお願い致します。(赤坂先生以下スペース) 実習だったんでこんな格好ですけど。
―いえいえ!お疲れ様です。 どうぞよろしくお願いします。

赤坂宗光(あかさか・むねみつ)先生
地域生態システム学科

先生の講義の後に、学生の講義

―早速ですが、今回学生から選ばれた景観生態学について伺っていきたいと思います。15回全体の流れなどありますか? 景観生態学は2単位で、1単位分を私が受け持って、もう一単位分を小池先生*が担当しています。自分の担当分は、いわゆる普通の教室授業を4回~6回やって(年により変動)、ちょっと時間を空けてから学生さんに講義をしてもらうという形です。大体4人~5人のグループにして、持ち時間15分、連続2~3コマを2週使っています。発表と言うより、講義って言った方が主体的にやれるかなと思ったので、講義と呼ぶようにしています。

 学生が講義する回では、聞いている学生はただ聞くだけじゃなくて、教員に対してコメントカード書くのと同じように、発表者に向かってコメントカードを書いてもらっています。今年は55人いて、11グループあったので10個分のコメントカード書かないといけない。だから、ボーっとしていたら書けないですし、そのコメントカードの内容も評価に入れるのでみんな真剣ですね。

 こうすることで、講義をしてコメントを受ける側の人の気持ちも分かると思いまして。そして、そのコメントに対しての回答も2週間以内に出してもらいます。
―学生はどのような内容を講義するのでしょうか? 前半の授業を受けて、さらにその先、もしくは先なのか横道なのか分からないけれど、繰り返しを避けて、発展した内容の講義をしてと伝えています。なので、自分が講義で話すことは極力基礎的な部分に留めるようにしています。

 そして、その先を学生に講義してもらうというのは、授業の内容を更新する意味でもいいと思っています。基礎は大きく変わらないけれども、最先端の部分はどんどん変わっていく。変わっていく部分の全てを教員が全て把握するのはなかなか大変。そして学生がどこに興味を持っているのか分からない。そこで、学生に自分たちが興味のあるところを探してきてもらって深堀してもらいます。そして、場合によっては、そのトピックを次の年の基礎の方に入れることもあり得る。
―面白いですね(゜゜)! たぶん、やっている人も少ない…僕も手探りでやっているので。
―その形式はどういった時に思いついたんですか。 自分が学生の時を振り返ると、面白くない授業は出ないとか、聞いているだけだと分かっているつもりにはなるけども、実は分かってなかったり、すぐ抜けたりしますよね。大学生でも高校生でも一緒だと思いますが、講義で扱ったことの全部を全ての学生が覚えていないということを前提の状況として考えています。そしてその状況を変えることを考えると、やはり自分で作業したことは覚えるし、調べる過程でいろんなことを学ぶので、学生が主体的に学ぶ形に価値があるのかなって。

コメントカードでフォロー、穴あきスライドは赤字で視認性◎

―前半の赤坂先生が授業をする回では、1コマの授業はどんな流れですか?  年によって違いますが、大体最初の20分~30分くらいは、前回のコメントカードに答えるような形の話をしています。「ここが分からないからもう一回説明してほしい」というようなコメントのフォローアップと発展的な突っ込んだ話で、コメントがあった中から、多くの人が興味を持ちそうと思うものを選んで答えます。毎年やるので、去年フォローアップした部分は、前もって気を付けて喋るとかスライドを修正するとか、講義の更新のヒントにもなっています。

 コメントカードのレスポンス用スライドは大体、講義一回につき5、6枚くらいですね。質問と回答の文章を載せて、図表を使ったりもします。口頭だけの場合もありますけど、文章や文字であった方が人によっては聞きやすかったりするだろうし、自分も忘れるので、そっちの方が好きかな。

 その後は、スライドを使いながら話をしますが、スライドの文字の一部が穴抜きにしたものを配っておきます。穴抜きになっている文字を授業スライドでは赤くしておいて、そこだけ埋めてから喋るような感じです。単にスライドだけだと寝ちゃうので、書きこむ形にしています。穴抜きの文字を赤色にしておくのは、抜けている文字はどこだろう?と探す時間は無駄なので、視認性を良くする意味で目立つようにはしていますね。

スライド例

 で、1時間ぐらい講義をやって、最後に5分か10分でコメントカードを書いてもらう。名前だけ書いてあるコメントカードは出さないように、と伝えています。結局、出席のためにぼーっと1時間半座っていて、何も反応がないのは何もしてないことと一緒なので、それに対しては何も評価する要素はないので。自分で思うことが何かある人は書いて出してくださいっていう風にしています。だからコメントを書くことを強制していないですね。あくまで+αのことだと捉えているので。
―コメントカードの用紙を回して、余りは前に戻ってきて、書きたい人は書いて出す、という感じですかね。 そうですね。人数分をきっちり配ってということはしていないです。でも、書く子は大体みんな毎回書いています。逆に、自分が複数回授業をやっていて一回も何も書いてない学生は・・・ということかなと思っています。

コンパクトにする技術も大事な能力

―学生講義の回に移る時の指示はどのような感じですか? まず、どの回を担当するかっていうことを授業の終わりに決めさせます。その中で、内容の重複がないように講義内容を学生同士で調整してもらう形でこちらは一切関与しない。

 配布資料を用意したい場合は、月曜が授業なので金曜日の昼までにこちらにファイルを送ることにしていて、資料はA4で2枚までに限定しています。教育的な意味で、要点をコンパクトにまとめることのも大事な作業だと思うので、あえて制約をかけています。実は紙を無駄にしないという意味もありますけど。社会に出て頑張って働いても、無駄な資料をたくさん作るようでは、労力がもったいないし、仕事ができる人はそういうことをしないはず。

 それは、発表時間を15分にしているのも同じ理由で、言いたいことを制限時間内に凝縮して、きちっと納めることも大事な勉強だなと思っています。その辺の意図を学生がどこまで汲んでいるかはわからないですが、こちらの意図としてはあります。
―いいトレーニングになりますね。 なってくれたらいいなと思いますね。
―面白いです!発展的な内容を学生の興味に委ねるみたいな形が。 そうですね。学生の興味も分かるし。あと、卒論の発表も含めて、基本的に学生は自分の話や自分の興味があることを、みんなが全て聞いてくれるという感覚があるじゃないですか。
―あ…あるかもしれないですね笑。 でも世の中に出たら、基本的に他人はあなたの話すことに興味ないんだよ。そういう興味ない人を振り向かせるところからいい(新しい)仕事が始まるんだと。こういったことを学生に言いたいですね。だから、授業内容とは別ですが、コンパクトに納めて大事なことを伝えることも、身につけて欲しいなと思ってやっています。


赤坂先生の「授業百景」vol.1はここまで!
続いて、授業内での課題や学生同士の学びについて詳しくお聞きしたvol.2はこちら


*小池伸介先生… 地域生態システム学科の先生。景観生態学の授業を赤坂先生と二人で担当されている。
http://kenkyu-web.tuat.ac.jp/Profiles/28/0002720/profile.html