• 授業百景
  • 先生大図鑑
  • 高校生からの質問におこたえします
  • こんな授業あります
先生大図鑑

# 第八景 生物物理から洋楽ロック、文楽などなど幅広い引き出し

2020.04.09

村山先生の、今に至るまでの経緯を聴かせていただきました! 
村山先生の「授業百景」はこちらから。


村山能宏(むらやま・よしひろ)先生
生体医用システム工学科
(改組により2019年度から。2018年度まで物理システム工学科)

―村山先生の経緯について伺っていきたいと思います。概ね、修士以降の経緯はどのようでしたか? 出身は東北大学で、学部は工学部の応用物理学科、そこで物理一般のことは学んで、そのあと大学院も東北大学なんですが、学科専攻は変わって情報科学研究科に進みました。ただ、やっている内容は全然情報とは関係なくて、ベースはずっと物理ですね。で、ドクターの時ですかね、博士課程の時から、生物、生命現象に興味を持ち始めて、博士課程のテーマはDNAを一分子で操作するっていう、そこの辺りから、生物物理と呼ばれる分野に入って行きましたね。

 その後、東大の方で助教をやって、それはもう理学部の物理ですね。で、10、11年前かな、2008年に農工大の今のところに移ってきて、やっている内容は生物物理の研究をずっとやり続けていますね。 生き物って面白いですよね。農学部の学生さん、よく分かってるかと思いますけど。
―生物物理…響きだけでもすごく面白そうです!

教えるという感覚ではなく

―着任された時から、授業は持たれていましたか? はい、即ありましたね。最初は、各学期一コマずつだったかな。
―着任してから今までで、変化などありましたか? やっぱり勉強になりますよね、こちらが。一番はやっぱり講義ノートを作る時に、自分がもう一度勉強しなおすという感覚ですかね。結局これってこういうことだったのか、って笑。きっと自分が学生だったときも、まあ自分で理解したと思っていたんだけど、本当の意味では理解していなかったなとか、再発見がたくさんあって。院試以降は、教員になってから講義ノート作ってるときが一番勉強するんじゃないんですか笑。
 もちろん、研究面で自分で何か調べたりとかっていうのはありますけれども、いろんな教科書をもう一回読みなおすとか、そういうのをもう一回やるというのは、その講義ノートを作る時には、最初はそれなりに時間がかかりますね。

 そうすると、やっぱり気づきがいっぱい出てくるので、それを伝えられたらな、という。こんなにおもしろいよ、というのと、面白さを伝えたいというだけですかね。でそれを面白いと思うか思わないかは、人それぞれなので。

 だから、こっちで教えるという感覚はあまりよくなくて、教える・教わるっていう関係はあまりいい関係ではないな、と思って。繰り返しになるんですけど、私は何かを伝えたい、それで何か面白がってくれたらいいかな、という気持ちで何かを伝えようと思うんですけど。
 そうすると、やっぱりそれなりの体力というか、伝えるというための努力は必要で、それなりにやっぱり時間はかかりますよね。もちろん、研究は研究で時間が必要ですので、その辺をどういうバランスでうまくやるのかっていう、特に今の大学の先生は雑務の部分が凄い増えてきているから笑、そういうバランスっていうのはなかなか…。
―増えてますか(*_*)…私の指導教授の先生もめちゃめちゃ忙しそうでした…。

現実とのつながり・例示も学生の反応を見つつ👀

 授業準備で言うと、一番最初に講義ノートを作る時にやっぱりかなりの時間はかかりますかね。それが出来上がると、それを毎年少しずつブラッシュアップしていくというのはありますけど。講義ノートがある場合は、前日にそれをもう一回見直して、あそうか、ここでこういうことを伝えるんだなというのを再確認する作業はします。数式とかってさっきのドラマの話じゃないですけども、やっぱり、例えば前フリの部分があってとか、最後のオチに相当する部分を伝えるためには、この部分を言っておかないと、繋がらないなとか。全体の流れの確認みたいなものですかね。
―今、率直に思ったのですけど、例えば微生物学だと基礎の部分があって最先端の話も入ってくるんですけど、今回のお話聞いていると、それこそ古典をいかに面白く伝えるかみたいな感じですか?

 はい、特に今私が担当している科目(物理数学Ⅰ・連続体物理)について、今の表現がすごく合っていて、やっぱり古典だと思いますね。ある程度確立されている話、というのを話しているので、ただそれが学生の皆さんは、例えば古典の教科書をそのまま読んでも全然よく分かんない、というのと同じですよね。
 だから、そこで現実の問題とはこういうところで繋がってますよとか。そういう起こっている現象というとの繋がりなんて言うのは、ちょこちょこ意識するようにはしてますね。―確かに、古文も予備知識なしでは読めないです。現実とのつながりですか。清少納言VS紫式部みたいな構図が現代のOL同士でもあるよ、みたいな笑。 そういうことだと思いますね。でも、そういうのは上手いこと合致すると良いんですけども、変に例え話ばかりやっていると、あんまりそれは例えになってないよっていう場合も出てくるので、そこら辺の塩梅も気をつけるところですね。
―例えればいい、ということではないんですね笑。 そうですね。やっぱりLIVE感があるので、学生さんの様子を見ていて、上手い具合に脱線というか、例えが合致する場合もあるし、ここはもうちょっとフォローしておいた方がいいのかなということもありますし。あとは、やっぱり何年かやっていくと定番のものっていうのが出てくると、やっぱりそういう話をしたりとかはありますね。また、そういうのも出来てきますが、あんまりそれを言うと、計算しているとそれは伝わるので、あんまりうまくないのかなっていう、そこも難しい気がしますけど。―難しいですね(*_*)

学生のうちに東京で楽しむのがオススメ

―先ほど、音楽や劇場の話題があったのですが、詳しく聞いてみてもいいですか? そうですね!はい。全然かまいませんよ。私は、大好きなのは洋楽のロックだったりしますかね。好きなのは行きますね。
―アーティストさんって例えば、どんな方ですか? 今の一番は、ローリングストーンズですね。
―あ、聴いたことあります!でも詳しくは分からないです笑。 聴いたことありますか笑。
―劇というのは演劇などですか? それもあるし、よく行くのは文楽(ぶんらく)、人形をつかって、人形浄瑠璃っていうのですね。面白いですよ。学生さんは安く入れるんですよ。東京はそういうのいっぱいありますからね。
―人形浄瑠璃って今に続いてるんですね(゜゜)!確かに、東京は多そうです。すいません、ちょっと脱線してしまって。 いえいえ、ほんとにそういうところから感じることもいっぱいあって、例えば講談とか、最近だと神田松之丞ってね。
―わかります!色白で目がぎゅっとしている… 私は、松之丞はあんまり好きじゃない。
―そうなんですか笑。ちなみにお好きな講談師さんはどなたですか? それはね、間違いない。一龍斎貞水(いちりゅうさい・ていすい)という人が、人間国宝ですごい方ですね。癌も患って、いつ死ぬか分からないんですけれど…。彼の講談とか、落語もよくききますし。
 それでやっぱり、話すのが上手な人ってのは、「へーなるほどこういう風にして話すんだなあ」と。やっぱり、人前で話す時っていうことには、直接ではないですけども、「ああなるほど、上手だなあ」と感じるときはいっぱいありますね。
 講談で連続ものっていうようなのがあるんですよ。ひと月ごとにやって、またその来月の話が楽しみなんで笑。ごめんなさいね、脱線ばかりして笑。
―いえいえ!ひと月ごとに楽しみがあるとがんばれそうです!

近距離LIVEですから

―最後に、授業づくりで楽しいことなどあったりしますか? 途中でもお話しましたけど、再発見がかなりあります。特に基礎的な科目だと、自分がもう一回勉強しなおすと、ああなるほど、こういうことだったのか、と。そういうのを、なるべく皆さんにも感じてもらえたらなあ、というのが大きいですかね。そういう時は、やっぱり楽しいですね。

 あとは講義も、ほんと上手い事噛み合った時って、やっぱり何となく雰囲気がありますよね。なにかこっちで伝えている時と、みなさんが、ああそっか!って思っている時が。こちらの意図が本当に伝わったなあ、って上手いこと合致した時っていうのは、やっぱりそれは、お互いにきっと楽しいんじゃないかな、という気はします笑。やっぱりちょっと、顔つきが変わりますよね。自分で理解したときに「ああ、そっか!」って思うときの顔ってどこかありますよね。
―見られているんですね、顔つき笑。たぶん、学生の分からないな??(°Д°)っていう顔も。先生が楽しそうだ!というのも伝わってくるときが確かにあります笑。 お互い見られていますね笑。


 インタビュー終了後、生物物理をもっと知りたいコーノに村山先生おすすめの本を教えていただきました!

『ゾウの時間、ネズミの時間。』
…高校3年生なら数式も理解しながら楽しめる?物理的な視点というのはこういうことか!物の理(ことわり)と書いて物理、が生物を説明する。「数式とか覚えてきたけど、現実でこうやって使うんですね…」数式をすっ飛ばしながら読んでも面白いです◎

『飄々楽学』
…学生の自由を尊重した教育から自身の研究室運営を大沢牧場と呼ばれた理系の大先生のお話。大学の先生にもおすすめ?「放牧型教育で学生ウェルフェア」


 村山先生のお話はどこか軽やかで、まさに飄々という感じがしました。 数学や物理の授業が15話ドラマとして組み立てられ、あのときのあいつ(数式)!という再登場や、現実とのつながり・例え・フォローアップなど学生の反応を見ながら展開される柔軟なLIVE感を持っている、など村山先生ならではの表現でした。また、特に印象的だったのは、「なるほどなるほど、ばかりよりは、なんでだろう?が多い方がいいのかな。」というお言葉です。
 より知るほどに疑問が増える、という積み重ねが学部生の頃から蓄えられると研究でも心強いはずです!

「授業百景」第八景はいかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに!