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先生大図鑑

堀川祥生先生

2022.06.16

第40回は環境資源科学科の堀川祥生先生にインタビューしました。
先生の樹木との出会いからセルロースの面白さまで語っていただきました。
ぜひ最後までご覧ください!

堀川先生の授業についてはこちらから。

<プロフィール>
お名前:堀川祥生先生
所属学科:環境資源科学科
研究室:バイオマス構造機能学研究室
趣味:旅行

樹木との出会い

―どうして先生は樹木を研究分野に選ばれたのですか?

 僕が選んだ研究室の先生は、学部生の時の月曜二限の講義を担当していました。その先生は中日ファンで、だいたいその日の講義は日曜日に行われた中日の試合結果に関するお話から始まりました(笑)。勝手に親近感を抱いて、その先生の研究室に行こうと思ったのが発端ですね。

―なるほど。樹木が入り口ではなかったわけですね?

 そうなんです。ただ実験はやっているうちになぜかわからないけど、夢中になる時がありました、特に大学院時代ですね。その昔「理由もなく無我夢中になるようなことがあったら、それは大切にした方がいい」と言われたことがありまして、それをきっかけにこの道でやっていきたいなと。今、振り返るとですけどね。

―そもそも、農学部に進学されたのはどうしてだったのでしょうか?

 僕3人兄弟の未子で、姉二人が共に農学部へ進学しました。当時はあまり感じませんでしたが、その影響は絶対あると思いますね。そう思うと主体性はないですね(笑)。でも、農学部という響きに悪いイメージはありませんでした。ちなみに学業は疎かにしていましたが大変充実した学生生活で、タイムマシーンがあったら大学時代に帰りたいなと思うぐらいです。

―実際私も大学や学科を選ぶ上で、今後何をやりたいかというのをすごく考えて選びました。でも、今人との出会いという話を聞いて結構ストンと落ちる部分があって…

 いろんな形がありますからね。その選び方も大事です。「棚から牡丹餅」という諺がありますよね?思いがけない幸運に出会うこと、という意味ですが、まずは棚の下に行くことが大切だと思います。牡丹餅が落ちてくるかはそこからです。だから、知らない場所を訪れ、人と出会い、議論することは大切だと思いますね。

研究者として日進月歩

―先生が研究をやられている上で大切にしていることは何ですか?

 去年の自分より、今年の自分は成長できているかということです。大学の研究者は研究と教育の両方の側面があります。僕達にとって、学生さんが将来研究者になりたいですと言ってもらえるのが一番嬉しいですね。例えば、学生さんが大学院に進学し、大学の教員や国立研究所の研究者などを目指す場合、一番身近な将来像は我々大学の教員じゃないですか。であれば、自分自身が愚痴ばかり言っていたり、俯いていたりしちゃいけないと思っています。これは同じ学科に所属する先生の受け売りなんですけど、私も賛成です。だから、物事は前向きに考えるとか、捨てるようなことでも何かそこから勉強できることはないか、去年に比べて今年は成長できていると実感できるか、というのは大切にしています

セルロースは面白い

―今まで先生が研究をやっていて特に面白いなと思った瞬間は何ですか?

 大学院時代の研究なのですが、六角形をしているセルロース合成酵素の可視化を電子顕微鏡を使って取り組みました。これは、ウォーリーを探すより難しい(笑)。サンプルを用意して、電子顕微鏡の鏡筒にセットして観察を始めてから見つけるのに6時間以上かかりました。それぐらいなかなか発見できませんでしたが、見つかった時の喜びは今でも忘れられません。なんかこれ、理由はわからないけど面白いなと。ただ、理由が無いっていうのも結構大事で、それは相性がいいってことかなと思います。

―セルロースは今研究されているテーマでもありますよね?

 セルロース研究は今も続けています。セルロースを作るのは樹木であり、その樹木は生き物ですから、他の生物同様に進化してきたわけです。だから、樹木の先祖もセルロースを作ります。例えば水草、海藻、バクテリアとかですね。実はナタデココもセルロースです。だから、構造的にはナタデココも樹木のセルロースと同じなわけですよね。

―何か違うところはありますか?

 サイズが違ったり、断面の形が違ったりします。あと、動物界で唯一セルロースを作る奴がいて、それがホヤなんです。

―なかなかセルロースがホヤにあるとは思わないですね。

 そうですね。ただ時に先入観って邪魔をします。そういった先入観を取り除く意味でも、対話は大事です。僕は、生物の構造多様性という観点から、他の研究にも興味を持っています。セルロースを合成する新たな生物を見つけたり、自分の解釈がピタッとハマったりした時というのはとてもやりがいを感じます。あの膝を打つみたいな感じ。そういうのが研究の一つの魅力ですね。

―今やっていないけどやってみたい研究はありますか?

 セルロースを一番初めに作り始めた生き物が何か、そのテーマには興味がありますね。

―その生き物がなにか分かるためには、今後どのようなことに取り組む必要があるのでしょうか?

 生物は途中で枝分かれしながら進化していくので、植物の先祖と言われるシアノバクテリアを調べるだけでなく、途中の枝葉も調べる必要があります。樹と一緒で、幹を辿っていけば樹が理解できるわけではなく、枝葉の部分もしっかりやっていく必要があります。

―結構壮大ですね。

 でも壮大な方がいいと思います。答えは無いけど、答えを探すことが研究の魅力だと思っているので、解答に辿り着きたいと思って取り組むのは大事かなと思います。

―現時点から目標までどうやっていけばいいかわからないこともあると思いますが、そういう時はどうしていますか?

 登山に例えると、“頂上”つまり目標が見えているならそれに向かって真っ直ぐ行くのがセオリーだと思います。大きな岩があってどうしても前進できない時は、横に移動する。テーマを変えるくらいでもいいです。グーッと回りながら歩みを進めればまた元の立ち位置に戻りますが、螺旋と一緒で一周回ったら元の位置より高くなっている事があります。脇道に逸れているのに実はゴールに近づいていることがあります。

夢中になるものを追いかけ続ける

―では最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。

 自分が夢中になることは大事にしてほしいですね。

―それはどうしてですか?

 夢中になるものってね、役に立ちそうとかお金になりそうとかそういった実利的なことがなくても一生懸命できるわけですよ。夢中っていい言葉で文字通り“夢の中”と書くでしょう?部活でもゲームでもアイドルでも何でもいいと思います。もし、夢中になれることがあったら、それを大切にしてほしいと思います。でも中毒とは違いますからね。

―今夢中になれるものがない人はどうしたら良いでしょうか?

 夢中になることって出会うしかないと思います。カブトムシ集めってカブトムシを知らない限り始まることはないですよね?恐縮ですが、きっかけとしては講義もそう言えるかなと思います。例えば、実際に木材を持ってみて握ってみる。何でこんなに軽くて強いのか、どうしてこの形になったのかというのを理解していく、そして興味を持つ。それが講義の役目でもあると思います。

―高校生の頃の自分に聞かせたいです…(笑)

 いやいや(笑)。でもその気持ちが大切です。今から始めればいいと思いますよ。


堀川先生の「先生大図鑑」はここまで!
先生大図鑑#40はいかがでしたでしょうか?
堀川先生の講義について詳しく知りたい方は「第四十景「木質資源化学」〜ミクロな視点からマクロな世界を眺める〜」もあわせてどうぞ!

文章:ほき
インタビュー日時:2022年2月21日
※インタビューは感染症に配慮して行っております。