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先生大図鑑

#24 「小瀬亮太先生」〜これからの社会に根ざした紙資源の可能性を広げる〜

2021.02.03

今回は、環境資源科学科の小瀬先生に話を伺うことができました!

小瀬先生の、今に至るまでの経緯や研究の魅力について語っていただきます!

授業については、こちらから。

〈プロフィール〉
お名前;小瀬 亮太(こせ りょうた)先生
所属学科;環境資源科学科
研究室;再生資源科学研究室
最近の趣味;奥さんと高尾山に登ること


内発的な動機を探す学生時代「自分は一体何をやりたいんだろう?」

…続いて、先生が研究者になられた経緯についてお聞きしてもよろしいですか?

 高校生の時は野球ばかりやっていて、視野を広げるために、大学は総合科学科(静岡大教育学部)というところを選んだんですけど、初めから研究者になろうとは全く思ってなかったですね。

実際にそもそも自分の内発的な動機はなんだろうと、自分は一体何をやりたいんだろうという思いばかりで、研究者になるとかならないとか考えたこともなかったです笑 


…そこからなぜ研究者を志したのでしょうか?

 大学生時代、他大の先生が非常勤で静大に来られて、超楽しそうに自分の研究を話していたんです。それがたまたま九州大のセルロースの先生だった。

ただ、その時「これこそまさに、内発的な動機だ!」と思って、この先生の近くにいたらその感覚が学べるんじゃないかと思って、大学院ではその研究室に進み、セルロースに出会ったんですね。

私は、何をやりたいんだろう?悩む学生に贈る言葉

…そうだったんですね、今の学生でも何をやりたいか分からないという方は多いと思います。ぜひ何かアドバイスをいただけないでしょうか?

 僕も経験者だからすごく思うんだけど、「何かしたい」ということ、「これが疑問だな」と思うことに対して、恥ずかしいなとか、世の一般の通例を外して考えることが大事なんだと思いますね…

それができないから何がしたいかわからないってなるんだけどね笑

僕自身それを解決する方法自体は分からなくて、今も迷うことが時々あるんだけど、頭の中ではそこがすごく大事だと思いつづけている。

大人になるにつれて、いろんな理由から自分がやりたいことの優先順位が下がっていっちゃう。こんなことやってて、受験勉強しなくていいのかとかね笑

 でも大学に入っての勉強で求められるのは、やっぱり内発的な動機なんですね。だから、その芽を潰さないようにしてほしいし、学生と関わる時はそこを気をつけていますね。

資源としての紙の可能性を広げる研究

…話が変わりますが、先生は現在どんな研究をなされているのでしょうか。

 僕の研究の対象は、プラスチックの代替としての紙の利用ということです。しかも環境的な側面だけではなくて、これからの情報化社会と環境調和型社会という時代にも必要とされる形で紙を使ってほしいんです。これを二つ組み合わせた形で成り立つような紙の材料を作りたい。例えば、紙のロボットとかね。

…え?紙のロボット?どういうことですか?

例えばこれ触ってみて?

紙を厚くするとこれくらいの強度は普通に出るわけ。

…おぉー!(写真)

 ただ、これは添加剤とか入れてなくて、ただ植物の繊維を集めただけ。

これがロボットでいうボディとかになるんです。

だけど、それをするために普通は型を作らないといけない。イメージとしては、卵パックみたいなね。ただこれが一番コストを必要とするんです。そして、この型を作ると、この型の紙しかできない。

 そこで僕の研究は、そこに科学的技術を使って、すいた時は平らなんだけど、乾燥していくと自然と形になるような紙資源を作っているんです。

例えば、ティッシュを間違って洗濯するとカチカチになることがあるけど、あれは繊維が乾燥の過程で強く凝集するから起こるんだよね。それで、繊維の大きさが違うと凝集する力も違う。 

そこで、この平面の中で違う大きさの繊維を配置して、凝集力の違いを利用すれば、すいた時は平面だけど、乾燥中に目的の形ができるようにならないか研究しています。

「2000年にわたる紙の形成原理を追求する」

…おもしろいです、、、紙を見る目線が変わっていきますね、、、

 でしょ?笑

 それで、この紙を作る基本的な原理は、紀元前から2000年以上変わってないと言われるんです。

だから、そのプロセスで出来上がったものであれば、人の社会にも受け入れられるもので、環境にも調和性の高いものであると信じています。

2000年前に科学技術なんてものは存在していなかったけど、自然の中にある条件だけを利用して、すく→脱水→乾燥というプロセスができていたので。

そして、このプロセスを、ナノレベルでコントロールできる科学技術を加えれば、さらなる紙の物性を発揮させることができる。これが私の研究のこだわりでもありますね。


…最後に農工大を進路として考えている高校生たちに伝えたいことをお聞きしてもよろしいでしょうか?

 高校の勉強で自分がやりたいことと違うことをやっているような気がしている学生がいれば、その気持ち、そのちっちゃな興味を否定せずに温めて欲しいと思います。きっと、その興味は大学では、とても大事な資質になる。 

 そして、もし進路に悩んでいるならば、その小さな興味を大事にして欲しい。とても単純のようでこれが難しいんだけどね、いろんなしがらみや将来が見えて来てしまう時期だから。

 だけども、自分の感覚が示す場所から出発していれば、後で間違えたと思ってもそれを元に積み直すことができるからね


 小瀬先生ありがとうございました!

 先生の「紙」にかける熱意がじわじわとせまり、本当に楽しく研究をされていることが伝わってきました。やっぱり熱意を持って取り組んでいる人ってかっこいいですね…!そして、「紙」の可能性と本当の意味での「環境を考える」ことにも気づかされました。

これからは資源の川上から川下までをも見つめて、選択していくことが少しずつ楽しくなって、紙を筆頭に資源を見る目線が変わっていきそうです!!


これで今回の先生大図鑑は閉幕とさせていただきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

文章;こぶじめ

インタビュー日程;2020年11月12日(木)

※ 授業の形式等はインタビュー当時やアンケートの回答時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。

※ インタビューは感染症に配慮して行っております。